福岡工業大学 教授 岡裏 佳幸
この講義もいよいよ最終回。今回は、技術英検3級の空欄補充問題と2級の語彙問題を解いてみましょう。
技術英検3級Ⅵ改題<旧工業英検4級 第73回 (2008.7)> 次の(a)から(e)がそれぞれ正しい意味を表すように、和文を参考にして( )に入れるのに最も適切な語を下の1から10より選びなさい。 (a) A definition is a statement that clearly ( ) the meaning or purpose of something. 定義とは、何かの意味または目的を明確に・・・する文のことである。 (b) Whether or not an object floats in water depends on its ( ). 物体が水に浮くかどうかは、その密度による。 (c) The silvery surface of a thermo flask stops heat ( ) by radiation. 表面が銀色の魔法瓶は熱が・・・ないようにする。 (d) The periodic table is a table that lists the ( ) in order of atomic weight. 周期表は、・・・を原子量の順番に並べている表である。 (e) The motor is ( ) by a battery charged by the gasoline engine during normal operation. モータは、通常運転時にガソリンエンジンによって充電されるバッテリーで動く。 1 consumed 2 escaping 3 powered 4 outlines 5 factors 6 gravity 7 density 8 entering 9 defeats 10 elements |
[解答・解説]
空欄補充問題を解く際には、空欄の前後に注意し、空欄に入る語の品詞を見極めることが大切です。品詞を見極めることができれば、10個の選択肢から、候補を絞り込めるので、正解率も確実にアップします。
(a) 4. outlines
まず、構造についてみておきましょう。既に学習しましたが、関係代名詞は、関係詞節内において、主語、目的語、補語のいずれかの働きをします。ここでは、関係代名詞thatの後に、副詞+( )+名詞が続いていますから、関係代名詞thatは主語の働きであることがわかります。また、meaningとpurposeは接続詞orによって結ばれ、両者はof somethingにつながります。
構造の点から、( )に入る候補は、4. outlines「概説する」か、9. defeats「打ち負かす」です。なお、名詞もoutlineで「概説、概要」のこと。
次に、意味を考えてみましょう。
構造と意味の両方の点から考えて、4. outlinesが正解であることがわかります。
[語句]
・definition「定義」動詞はdefineで「定義する」。
・statement「文」動詞はstateで「述べる、言う」。
・clearly「明確に、はっきりと」
(b) 7. density
この問題は、単語の意味がわかれば解けるでしょう。まず、主部に用いられるwhether or not ~は「~かどうかということ」という意味。また、depend on ~は「~によって決まる」ですから、文構造は単純です。
[語句]
・object「物体」
・float「浮く」
(c) 2. escaping
和文から判断すると、ポイントは「Aが~しないようにする」。動詞のstopを用いると、stop A (from) doingとなります。ここでは、fromが省略。( )の候補は、2. escapingか8. enteringですが、内容を考えると、2. escapingが正解となります。
[語句]
・a silvery「銀の」名詞はsilver「銀」。
・surface「表面」
・thermo flask「魔法瓶」thermo-には「熱」の意味があります。
・escape「逃げる」
・radiation「(熱・光などの)放射」
radiatorは「ラジエータ」。ちなみに、radiational coolingは「放射冷却」のことです」。
(d) 10. elements
関係代名詞thatの先行詞は、a tableです。関係詞節内におけるthatの働きは、文構造から明らかでしょう。後に、動詞+目的語が続きますから、主語として機能します。
関係詞節は、「・・・を原子量の順番に並べている」という意味ですから、( )には名詞が入ります。候補は、5. factors「要因、要素」、6. gravity「重力、引力」、7. density「密度」、10. elements「元素」ですが、もちろん、周期表の説明ですから、10. elementsが正解です。
また、問題文は、よりシンプルに、The periodic table lists the elements in order of atomic weight.と言い換えることもできます。
[語句]
・the periodic table「周期表」 tableは「表」のこと。形容詞のperiodicは「周期的な」。periodic lawは「周期律」、periodic motionは「周期運動」、periodic variationは「周期変化」のこと。
・element「元素」
・list ~「~を一覧表にする」
・in order of ~「~の順で」
・atomic weight「原子量」
(e) 3. powered
「モータはバッテリーで動く」にあたる部分は、The motor is ( ) by a batteryです。受動態で表現しなければなりませんから、空欄に入るのは動詞の過去分詞形です。候補は、1. consumedか3. poweredですが、「動く」を意味するのは3. poweredです。consumeは「消費する」。
なお、charged by the gasoline engineはa batteryを修飾する形容詞句です。文構造を確認しておきましょう。
[語句]
・motor「モータ」
・charge「充電する」
・during ~「~の間」
・normal operation「通常運転」
次は技術英検2級の語彙問題です。
技術英検2級Ⅰ<旧工業英検3級 第73回 (2008.7)> 次の(a)から(j)の英語に、それぞれ最も適切な日本語を選び、その番号を解答欄に記入しなさい。 (a) static electricity
(b) saturation
(c) photosynthesis
(d) specific gravity
(e) quality control
(f) acid-proof
(g) disadvantage
(h) thrust
(i) obtuse angle
(j) absorption
|
[解答・解説]
(a) 3. 静電気
static electricityは3.「静電気」。形容詞のstaticは「静的な、静止した、静力学の」という意味。static frictionは「静止摩擦」、static magnetic fieldは「静止磁場」、static pressureは「静圧」のこと。
1.「電気分解」はelectrolysis。
2.「電極反応」はelectrode reaction。「電極」はelectrode。electrode potentialは「電極電位」の意味ですから、potentialが「電位」であることがわかりますね。
(b) 1. 飽和
saturationは1.「飽和」。saturation pointは「飽和点」。saturatorは「飽和器」のこと。また、saturated compound「飽和化合物」、saturated solution「飽和溶液」も覚えておきましょう。
2.「凝固」はsolidification。動詞はsolidifyで「凝固する、凝固させる」。
3.「溶解」はmelting、solution、dissolutionなど。solubilityは「溶解度」。
(c) 2. 光合成
photosynthesisは2.「光合成」。接頭辞のphoto-は「光の」という意味でしたね。他に、photo-を用いた表現には、photochemical reaction「光化学反応」、photochemistry「光化学」、photoelectric effect「光電効果」、photoelectron「光電子」、photolysis「光分解」、photometer「光度計」、photon「光子」などがあります。
1.「感光物質」はphotosensitive material。形容詞のphotosensitiveは「感光性の」という意味。photosensitive resinは「感光性樹脂」のこと。
3.「光源」はlight source、illuminant。illuminanceは「照度」、illuminantは「発光物」のこと。illuminationは「照度、照明」。また、illuminometerは「照度計」のことです。
(d) 1. 比重
specific gravityは1.「比重」の意味です。この場合のspecificは「比の、物質固有の」という意味。specific chargeは「比電荷」、specific gravity balanceは「比重ばかり」、specific heatは「比熱」です。
2.「仕様書」はspecifications。形容詞のspecificは「明確な、具体的な」。動詞のspecifyは「明細に述べる、仕様書に記入する」という意味でしたね。
3.「標本」はspecimenです。
(e) 2. 品質管理
quality controlは2.「品質管理」。他に、quality「品質」を用いた表現では、quality assurance「品質保証」が重要。一方、quantityは「量」のこと。quantity of electricity「電気量」、quantity of heat「熱量」、quantity of light「光量」、quantity of magnetism「磁気量」などが重要です。
1.「資格規制」はqualification control。
3.「自動規制」はautomatic control。
(f) 3. 耐酸の
acid-proofは3.「耐酸の」の意味。
1.「防湿の」という意味の形容詞は、damp-proofまたはmoisture-proofです。
2.「脱色の」はdecolorizing。動詞はdecolorizeで「脱色する」、名詞はdecolorizationで「脱色」。
(g) 2. 短所
disadvantageは2.「短所」の意味。接頭辞のdis-が名詞につくと、「反対」を意味します。もちろん、反義語はadvantage「長所、利点」です。それぞれ形容詞は、advantageous「有利な、好都合の」、disadvantageous「不利な、不都合の」。
1.「放電」はdischarge。これも同様に接頭辞のdis-を用いていますから、反義語はcharge「充電する、帯電させる」です。discharge tubeは「放電管」。
3.「分解」はresolution、decomposition。動詞はそれぞれresolve、decomposeで「分解する」。接頭辞のde-には「否定」の意味があります。
(h) 1. 推力
thrustは1.「推力」。10,000 kilograms of thrustは「10,000キロの推力」の意味。
2.「必要条件」はrequirements、requisites。いずれも、通例、複数形で用います。
3.「補強」はreinforcement。また、「(防水などの)補強」の意味では、proofingがあります。動詞のreinforceは「補強する」、proofは「防水加工する」。reinforced carbonは「強化カーボン」、reinforced plasticは「強化プラスチック」のこと。また、reinforcing material は「補強材」です。
(i) 1. 鈍角
obtuse angleは1.「鈍角」という意味。
2.「直角」はright angle。
3.「鋭角」はacute angle。
(j) 2. 吸収
absorptionは名詞で2.「吸収」の意味。動詞はabsorbで「吸収する」。関連表現を挙げておきましょう。absorberは「吸収剤」、absorbing material、absorbing matterは「吸収物質」、absorbing powerは「吸収能」のこと。また、absorption curve「吸収曲線」、absorption factor「吸収因子、吸収率」、absorption index「吸収指数」も重要。
1.「除去」はelimination。動詞はeliminateで「除去する」。eliminate A from Bの形式で「AをBから除去する」の意味になります。
3.「反射」はreflection。
これでこの講義は終わりです。英語学習において、継続すること、繰り返すことはとても大切なことです。12回の講義内容を何度も繰り返し復習してください。
(参考:工業英語ジャーナル 2010年3月号)