福岡工業大学 教授 岡裏 佳幸
今回から12回で、技術英検3級・2級合格に必要な語彙力・文法力を養成するための講義を行います。毎回、3級・2級の問題を各1問ずつとり上げ、解説していきます。3級・2級合格を目指す方だけでなく、語彙や文法に不安を抱えている方もぜひ読んでみてください。
では、さっそく講義を始めましょう。まずは、3級の語彙問題から!
技術英検3級Ⅶ<旧工業英検4級 第59回 (2005.1)> 次の(a)から(o)の日本語に、それぞれ相当する英語を選び、その番号を解答欄に記入しなさい。 (a) 分類する |
[解答・解説]
(a) 1 classify
- classifyは、名詞のclass「部類、種類」+-(i)fy「~にする」ですから、「分類する」という意味の動詞です。
classify A into Bといえば「AをBに分類する」の意味になります。名詞はclassificationで「分類」のことです。
他に-(i)fyを用いた単語を挙げておきましょう。
liquefy「液化する、溶ける、溶かす」、solidify「凝固する、凝固させる」、purify「浄化する」などがあります。 - analyzeは「分析する」です。接尾辞の-izeには「~にする、~化する」という意味があります。
たとえば、oxidizeの意味はわかりますか? oxygenは「酸素」ですよね。oxy-「酸」+-gen「発生させるもの」です。
oxideは「酸化物」のことですから、oxidizeはoxide-+-izeで「酸化させる」の意味であることがわかりますね。
ちなみに、hydrogenはhydro-「水素の」+-genですから、「水素」のことです。
2. analyzeの名詞はanalysisで「分析」のこと。たとえば、chemical analysisは「化学分析」、computer analysisは「コンピュータ分析」、data analysisは「データ分析」、scientific analysisは「科学的分析」を意味します。
また、quantitative analysisは「定量分析」、qualitative analysisは「定性分析」の意味です。「量」はquantity、「質」はqualityですね。 - varyは「変化する、変動する」という意味の動詞です。派生語をみておきましょう。
variableは「変わりやすい、不定の、変数の」という意味の形容詞の他に、「変数、変数記号」の意味で名詞としても用いられます。形容詞のvariantは「様々な、異なる」の意味。また、varietyは「変化、多様性」という意味の名詞です。
(b) 1. polish
1.polishは「磨く、研磨する」という意味の動詞です。
ちなみに、「(機械用の)研磨剤」はabrasiveといいます。
2.mountは「(ディスクを)使用可能な状態にする」という意味。
3.screwは「ねじで固定する、ねじ、ビス」の意味です。
「ねじを締める」はtighten a screw、「ねじを緩める」はloosen a screwといいます。
動詞のtightenとloosenは、それぞれ形容詞のtight「きつい」+-en、loose「ゆるい」+-enです。
接尾辞-enは「~にする」という意味ですから、tighten、loosenの意味は推測できるでしょう。
ちなみに、boltは「ボルト、締め釘」です。
(c) 2. arc
2.arcは「円弧、弧、アーク」のことですが、archとなれば「アーチ(形)、弓形、架橋」を意味します。
また、「(円の)弦」はchordといいます。
1.crescentは「三日月(の)」という意味です。
3.crossは「十字型、十字架、交差」のこと。
(d) 1. lead
1.leadは「鉛(Pb)」の意味では[レッド]と発音しますが、「先導(する)」の意味では[リード]と発音します。
発音の違いに注意しましょう。
他に元素(elements)の表現を挙げておきましょう。
「炭素(C)」はcarbon、「窒素(N)」はnitrogen、「ナトリウム(Na)」はsodium、「硫黄(S)」はsulfur、
「塩素(Cl)」はchlorine、「カリウム(K)」はpotassium、「鉄(Fe)」はiron、「銅(Cu)」はcopper、
「銀(Ag)」はsilver、「錫(Sn)」はtin、「白金(Pt)」はplatinum、「金(Au)」はgoldです。
2.zincは「亜鉛(Zn)」のこと。
3.methaneは「メタン(CH4)」です。
(e) 3. expand
3.expandはex-「外へ」+-pand「広がる」ですから「拡張する、拡大する、展開する」となります。
ちなみに、名詞はexpansionで「拡張、拡大、膨張、展開(式)」を意味します。
1.exportはex-「外に」+-port「運ぶ」ですから、「輸出する、エクスポートする、輸出」です。
反意語はimportで「輸入する、インポートする、輸入」。
2.exerciseは「練習(する)」の意味。
(f) 2. proof
2.proofは「証拠」という意味の他に、形容詞として「(水・火などを)防ぐ」という意味でも用いられます。
waterproofは「完全防水の、水を通さない」、fireproofは「防火性の、不燃性の」を意味します。
1.resultは「結果」のこと。ちなみに、「原因」はcauseですね。
3.formatは「フォーマット、ディスクの初期化、初期化する」のこと。installは「インストールする」です。
(g) 1. angle
2.diagramはdia-「対角線に、横切って」+-gram「書く」ですから、「図、図形、図式」の意味です。
同じく、接頭辞のdia-を用いた表現をみておきましょう。
diagonalは「対角線(の)、斜線(の)」の意味。「対角線」はdiagonal linesともいいます。
また、diameterはdia-「横切って」+-meter「測定すること」から、「直径(d)」の意味になります。
たとえば、「直径7センチの円」はa circle of 7 centimeters in diameterと表現します。
このinは「~の点で」を意味します。ちなみに、「半径(r)」はradiusですね。
3.triangleはtri-「三つの」+-angle「角」で「三角形」です。
ここで、様々な「三角形」の表現を覚えておきましょう。
まず、「正三角形」はequilateral triangleです。equi-には「等しい」という意味があるのです。
「二等辺三角形」はisosceles triangle、「不等辺三角形」はscalene triangleです。
「鋭角三角形」はacute-angled triangle、「直角三角形」はright-angled triangle、「鈍角三角形」はobtuse-angled triangleといいます。
それぞれの角の表現は、acute angle「鋭角」、right angle「直角」、obtuse angle「鈍角」です。
他の図形の名称も挙げておきます。
「四角形」はquadrilateralまたはtetragon、「五角形」はpentagon、「六角形」はhexagon、「八角形」はoctagonといいます。
ちなみに、octopusの意味は?octo-「8本の」+-pus「足」ですから、「蛸」ですよね。
oct(o)-は「8」を表すのです。
また、「多角形」はpolygonといいます。poly-は「多数の」という意味です。
たとえば、polynomialは「多項式(の)」という意味になります。
反意語は「単項式(の)」ですから、monomialといいます。接頭辞のmono-は「単、ひとつの」を表します。
(h) 3. target
1.boardは「板、板材」のこと。「配電盤」はswitchboardといいます。
2.sourceは「電源、音源、熱源」の意味で用いられます。「エネルギー源」はenergy sourceです。
(i) 2.strength
2.strengthには「強度、強さ、耐久力」の意味があります。tensile strengthは「抗張力」のことですね。
動詞のstrengthenはstrength+-enですから、「強化する」という意味になります。
1.capacityは「容積、容量、最大出力、能力」の意味です。electric capacityは「電気容量」。
load capacityといえば「積載荷重量」、magnifying capacityといえば「(レンズなどの)倍率」のこと。
さらに、「生産能力」はproduction capacity、「記憶容量」はstorage capacity、「熱容量」はthermal capacityです。
接頭辞のtherm(o)-は「熱の、熱電気の」という意味ですから、
thermometerはthermo-「熱の」+-meter「~計」で「寒暖計、温度計」の意味になります。
他に、-meterを用いた単語には、ammeter「電流計」、voltmeter「電圧計」、barometer「気圧計」、anemometer「風速計」、calorimeter「熱量計」などがあります。
また、capacityによく似た形の単語で、capacitorは「コンデンサー」の意味です。もちろん、condenserともいいます。
3.width[ウィドゥス]は「幅、広さ、(縦に対して)横」です。形容詞はwide[ワイド]で「幅が広い、幅が~ある」の意味。
また、「(横に対して)縦、高さ」にはlengthやaltitudeを用います。
(j) 2. basis
2.basisは「(物事の)基礎、基盤」のことです。ちなみに、「(建物の)基礎、土台」には、baseやfoundationが用いられます。
1.bunkerは難解な単語ですね。「燃料置き場、燃料庫」のことです。「燃料」はfuelといいます。
3.columnは「(行列の)列、円柱、支柱」です。「円柱」はcylinderともいいます。
立体の表現をみておきましょう。
「角柱」はprism、「角錐」はpyramid、「円錐」はcone、「立方体」はcubeです。
(k) 1. positive
2.negativeは「負の、否定的な」という意味で、1. positive「正の、肯定的な」の反意語です。
the negative poleは「陰極」、the positive poleは「陽極」ですね。
他に、negativeとpositiveを用いた表現を挙げておきましょう。
negative angleは「負の角」で、positive angleは「正の角」のこと。
negative chargeは「負の電荷」で、一方positive chargeは「正の電荷」です。
negative electricityは「陰電気、負電気」で、positive electricityは「陽電気、正電気」のこと。
さらに、negative reactionは「陰性反応」であるのに対し、positive reactionは「陽性反応」のことです。
3.passiveは「受動的な、不活性の」という意味。passive smokingは「受動喫煙」のこと。
(l) 3. gear
3.gearは「歯車(装置)、(車の)ギア」の意味。「変速する」はchange gear(s)またはshift gear(s)といいます。
1.gutterは「溝」のこと。
2.drainは「排水する、排水溝」。
(m) 2. display
2.displayは「表示する」という意味の動詞以外に、「表示、ディスプレイ、表示装置」の意味で名詞としても用いられます。
それでは、パソコンに関する表現をいくつかみておきましょう。
「(データなどを)保存する」はsave、「(情報を)検索する」はretrieveです。「(情報の)検索」はretrievalとなります。
1.delayは「遅らせる、遅延、遅れ」。
3.demandは「需要」のこと。「供給」はsupplyです。
(n) 3. tissue
1.cellは「細胞」のことです。
他にcellを用いる表現には、
cell culture「細胞培養」、cell division「細胞分裂」、cell fusion「細胞融合」、cell membrane「細胞膜」、cell wall「細胞壁」などがあります。
2.moleculeは「分子」です。
(o) 1. revolution
1.revolutionの動詞はrevolveです。re-「繰り返し」+-volve「回る」ですから、「回転する」となります。
revolving doorといえば「回転ドア」のことですね。
2.inflationは「(宇宙の)膨張、インフレーション、暴騰」のこと。反意語は、deflationで「収縮、デフレーション」の意味です。
3.concentrationには「濃度、濃縮、集中」の意味があります。
15問中、何問正解していましたか。ずいぶんたくさんの表現を学習しましたね。何度も解説を読み返して、覚えてください。
それでは、次に技術英検2級の空欄補充問題に挑戦してみましょう。文の構造に気をつけて解いてみてください。
技術英検2級Ⅲ<旧工業英検3級 第61回 (2005.11)> 次の各英文の( )に入れるのに最も適切な語を下の1~10より選び、その番号を解答欄に記入しなさい。 (a) Railroad tracks seem to ( ) together as they become more distant from the observer. (b) Food ( ) only minute quantities of the substances called vitamins, but they are vital for good health. (c) A convex spectacle lens bends the rays ( ) a little before they enter the eye. (d) As you know, water is a slow ( ) of heat and a slow loser of heat. (e) Some materials have a rough ( ) and produce a lot of friction; e.g. sandpaper. 1. defect |
[解答・解説]
(a) 3. come
seem to ( ) togetherとなっていますから、( )には動詞の原形が入ることがわかります。
この時点で、可能性としては3. comeか、8. developですが、主語がRailroad tracksであり、( )の直後がtogetherですから、
come together「合流する、ひとつになる」としなければなりませんね。
接続詞のasには様々な意味がありますが、ここでは比較級とともに用いられていることから、「~するにつれて」の意味だと判断できます。
これは比例のasと呼ばれます。
asには他に、理由「~なので」、時間「~するとき」、様態「~のように」、限定「~のような」などの意味があります。
asに出くわしたときは、主節と従属説とのつながりを考慮して、意味を特定することが重要です。
[語句]
・ seem to do「~するようである」
・ distant from ~「~から離れて」
・ observer「観測者、観察者」
[訳]
列車の線路は、観測者から遠く離れるにつれて合流するように見える。
(b) 7. contains
Food ( ) only minute quantities of the substances called vitaminsにおいて、
不可算名詞のFoodが主語ですから、( )には3人称単数現在形の動詞が入ります。
候補は7. contains「含む」か、9. applies「適用する、応用する」ですが、
applyは通例apply A to Bの形式で「A(力・熱など)をBに加える、AをBに適用する、応用する」の意味になります。
the substances called vitaminsについて説明しておきましょう。calledは、他動詞callの過去分詞ですから、受身の意味を持ちます。
called vitaminsはthe substancesを修飾する形容詞句ですから、「ビタミンと呼ばれる物質」という意味になります。
過去分詞と現在分詞の用法は、以下の通りです。
・自動詞の現在分詞:「~している」(動作の進行) the falling leavesは「落下している葉」、つまり「ひらひらと舞っている葉」のこと。
・自動詞の過去分詞:「~してしまった」(動作の完了) the fallen leavesは「落下してしまった葉」、つまり「落ち葉」。
・他動詞の現在分詞:「~する」(能動)
・他動詞の過去分詞:「~される」(受動)
[語句]
・ minute「微量の、細かい」発音は[マイニュート]。[ミニット]と発音すると、名詞で「分」の意味になります。
・ substance「物質」
・ vitamin「ビタミン」発音は[ヴァイタミン]です。
・ vital「不可欠な」
[訳]
食物にはビタミンと呼ばれる物質はごく少量しか含まれないが、健康には不可欠である。
(c) 5. inwards
既に文を成立させる要素(S+V+O)が含まれているため、( )には文型を崩さない要素である副詞を用いなければなりませんね。
候補は2. downwards「下方に」か、5. inwards「内側に」ですが、A convex spectacle lens「眼鏡用の凸レンズ」の性質がわかれば、答えは明らかでしょう。
[語句]
・ convex「凸型の」⇔ concave「凹型の」。「凸レンズ」はconvex lens、「凹レンズ」はconcave lensといいます。
・ spectacle「眼鏡用の」。名詞の「眼鏡」はspectaclesですが、より一般的な表現はglassesです。
「眼鏡」のように対になっている器具などは、必ず複数形で用いられます。
compasses「コンパス(ただし、「羅針盤」の意味ではcompass)」やcalipers「カリパス」、scissors「はさみ」なども同様ですね。
また、これらの名詞を数える場合は、a pair of scissorsやtwo pairs of scissorsとします。
・ bend「曲げる、屈折させる」
・ the rays「光線」。infrared raysは「赤外線」、ultraviolet raysは「紫外線」。
・ a little「少し」= a bit
・ enter「(場所などに)入る」。この意味では他動詞ですから、enterと目的語との間に前置詞を置いてはいけません。
[訳]
眼鏡用の凸レンズによって、光は目に入る前に若干内側に屈折する。
(d) 10. absorber
a slow ( ) of heat and a slow loser of heatの形式から、( )には名詞が入ると予測できます。
候補は4つ。1. defect「欠陥」、4. winner「勝者」、6. surface「表面」、10. absorber「吸収するもの、吸収材」です。
文意から判断して、10. absorberが入ります。
空欄を埋めると、As you know, water is a slow absorber of heat and a slow loser of heat. となります。
この文は、As you know, water slowly absorbs (heat) and (slowly) loses heat. を名詞化したものです。
名詞化とは、動詞や形容詞を名詞に転換して文に組み込むことをいいます。
ここでは、slowly absorbs heatという動詞句が、a slow absorber of heatという名詞句に転換されているのです。
また、問題文ではwater isが共通部分となり、これにandで接続された①と②が続いています。
①と②を比較すると、a slow ~ of heatが両者の共通部分になっていますから、次のように表現することもできるのです。
この文では、water is a slow ~ of heatが共通部分になっていますね。
このように、文中においてある要素が共通となり、その前や後に複数の要素が接続されている場合を、共通構文といいます。
共通構文は、文を簡潔にするために用いられますから、文構造を理解する上で注意が必要です。
[語句]
・ as you know「ご存知の通り」
[訳]
ご存知の通り、水は熱を吸収し放出するのが遅い。
(e) 6. surface
Some materials have a rough ( )の形式から、( )には名詞が入り、「粗い( )を持つ物質もあります」という意味になることがわかりますね。
また、後続のproduce a lot of friction「大きな摩擦を生じる」もヒントになるでしょう。
[語句]
・ material「物質」
・ rough「粗い」
・ produce「生じる、生産する」
・ a lot of「たくさんの」a lot ofの後には、不可算名詞も可算名詞の複数形も置くことができます。
・ friction「摩擦」。「分数、端数」を意味するfractionと混同しないように、注意しましょう。
・ e.g.「たとえば」= for example
・ sandpaper「紙やすり」
[訳]
たとえば紙やすりのように表面が粗く、大きな摩擦を生じる物質がある。
さて、第1回の誌上講義はいかがでしたか? 今回扱った語彙の数は約220!
文法事項とあわせて、次回の誌上講義までに、しっかりとマスターしておきましょう。
(参考:工業英語ジャーナル 2007年6月号)